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ゆうれい犬さんの頼みごと

「それは、僕を育ててくれたご主人様の奥さん。僕が死んで3年後に、ご主人様も病気で亡くなってしまってたから、奥さんは今、この近くの広いお屋敷に、独りぽっちで住んでいるんだよ」
「独りで?」
「そう独りで。もう85歳になるんだけど、独りでご飯を食べて、独りでテレビを見ているから、何をしても溜息ばかり。寂しさのあまり病気になってしまうんじゃないかと、ゆうれいになった僕もご主人様も心配なんだ」
「話し相手もいなければ、寂しい毎日だろうね。あ、わかった、うちのお母ちゃんはお喋りだから、そのおばあちゃんの話し相手になってってこと?」
「うん、それももちろんあるけど、もっと寂しくない方法」
「寂しくない方法って?」
「わんこと一緒に暮らすってこと。もちろん、生きているわんこだけどね」
 私の頭の中に、そのおばあちゃんがわんこと一緒に、楽しくご飯を食べている姿が浮かんできた。
「それはいい考えかもしれない。ペットレスになった人を治すには、また違うわんちゃんを飼って愛情を注ぐと良いって言うものね。うぅ~んいいかも~」
 私は大賛成でした。

「フンフン、フンフン、フンフンフン」
 お母ちゃんが、とぎれとぎれの会話にあいづちを打っている。話の内容がわかったのだろうか?
「お母ちゃんがなんだってぇー、お喋りだってー。もう、ポーちゃんもゆうれい犬さんも失礼なこと言わないで!!」
 と、むくれている。
「あー、やっぱりちゃんとわかっていなかったんですね」
 と、ゆうれい犬さん。
 もう一度お母ちゃんに説明し直すと、
「よし! その話乗った。お母ちゃんの出来ることならなんだってするから、言ってちょうだい!! で、どんなわんこを選べばいいの?」
「6歳になるシーズー犬で男の子。お散歩も楽だし、もう6歳だからやんちゃ盛りも過ぎて落ち着いている、大人しくて甘えん坊さんらしいんだ」
「えっ、もうその子に決まっているんだ。誰が決めたの?」
「神様が決めたのさ。じつは今日から1週間後に、おばあちゃんとその子が巡り逢う時が必ずやってくるんだ。どんな形で出逢うのか僕はまだ聞いていないからわからないけど、その時、ポーちゃんのお母ちゃんの力が必要なんだ」
「こんなお母ちゃんだけど、わんこのためだったら一生懸命お手伝いすると思うよ。それに、お母ちゃんはお年寄りが好きだから、きっとうまくいくと思うよ」
「ありがとうポーちゃん。ポーちゃんとポーちゃんのお母ちゃんが協力してくれるなら、ゆうれいの僕もご主人様も、一緒に出来る限りのことをするよ」
「まかしといて! 身体はちっちゃいけど、やることはでっかいんだから」
「あっははははは……」
 私とゆうれい犬さんは、やっと明るく笑うことができた。

 ふと見ると、つい今まで横で「フンフン、フン、フン」とあいづちを打っていたはずのお母ちゃんが、いつの間にか「フニャ、フニャ、フニャ」と一人でねぶた祭りをしている。
 そういえばさっき、お話の途中なのに「あー、太陽のいい匂いが私を誘っているー」と、重ねてあった座布団にスキスキしてたっけ。せっかくおてんとう様に干しといたのに……よだれまで垂らしちゃって……。ツッチー(ホテルのお掃除部隊の隊長さんです)に叱られるから。
「お母ちゃん……お母ちゃんってば!!」
 お腹の上に乗ってドンドンやっても、お顔をペロペロ攻撃しても、お母ちゃんの元祖ねぶた祭りには勝てない。しようがないので、詳しくはまたあとで打ち合わせをすることにして、ゆうれい犬さんも私も、しばらく一緒にねぶた祭りに参加することにした。

 ZZZ・ZZZ・ZZZ……。
「ファックション、ハァークション、ファックション」
 しばらくして、お母ちゃんの激しいクシャミと、周りの空気を全部吸い取ってしまうような大あくびと共に、ねぶた祭りは終わりを告げた。
 ゆうれい犬さんとは、明日の昼1時に、またこのお部屋で逢う約束をして、今日はとりあえず解散することになった。
 お母ちゃんと私はドアから、ゆうれい犬さんは窓からスゥ~~ッと消える。

 二人でお部屋に戻りながら、
「ねぇーお母ちゃん、こんなに遅くなっちゃって、お父ちゃんになんて説明しようか?」
「ねぶた祭りをしていたこと?」
「そうじゃなくて、あのゆうれい犬さんのこと。そのまま話しても信じてくれないと思うし、二人とも頭がおかしいんじゃないかって言われちゃうよ。今だって、お母ちゃんはよく一人でブツブツお話してるって思われているんだから。私の声は、お母ちゃん以外には誰も聞こえないんだよ」
「そんなこと言ったって、しようがないでしょ。ポーちゃんとお話してるって説明したって、それこそ信じてくれないんだから。どうせね、お母ちゃんは変わっている人で通っているから気にしないけどね、あはははは……。でもぉー、ポーちゃんとお母ちゃんはいつの間にかお話が出来るようになったけど、他にもわんことお話出来る人っているのかなぁー」
「えっ、お母ちゃん知らなかったの? お客様の中でも、私たちと同じように会話している人たちは何人かいるよ」
「うそっ、誰? お母ちゃんが知ってる人? よくお泊りに来てくれる人?」
「さて、誰でしょう、当ててみてください。ヒントその1、よくお泊りに来るお酒の好きな人で、お父ちゃんと一緒に夜中まで飲む人です」
「えー、お父ちゃんと一緒によく飲む人ねぇ~。あっ、わかった。唄の上手な、フィーバーちゃんとトゥインちゃんのパパ」
「ブッブー。ヒントその2、わんこは小型犬、そして3人います。もうそろそろおわかりですね」
「わんこ3人、わんこ3人ねー……。そうだ、パグのうめさん、こなつちゃん、よねさんのパパ!! 当たりでしょ!」
「残念、ハズレです。では最後のヒント、これでわかんなかったら、もう、おせーない!! いいですか? その人たちがみえるたび、お母ちゃんはお客様なのにいろいろと頼りにして、助かってます。さぁー誰でしょう」
「はい、わかりました。これは絶対に正解です。その方の名は、シーズーのロンちゃん、アトちゃん、サブちゃんのパパでぇ~す」
 と、得意顔になるお母ちゃん。ニタッと笑う私。

「ブッブー、残念でした。答えはロンちゃん、アトちゃん、サブちゃんのパパではなく、ママでした」
「ポーちゃんずるぅ~~い。どっちだっていいじゃない、親なんだから」
「でも、お話が出来るのはママだけだもの」
「そっかぁ。パパもすごく子供たちを可愛がっているのにね」
「これは愛情の問題じゃなくて、人間とわんこのテレパシーが、どれだけ通じるかなのよ」
「なるほどねぇ。じゃあ、わんこ同士の場合も、テレパシーでお話をしているの?」
「そう。でも、わんこ同士でもお話が出来ない子や、わんこにも人間にも、全然テレパシーが通じない子もいるしね。でも、じつはそういう子は他の力が強いの。例えば人間に仕事のアドバイスをしたり、心の優しさを取り戻してくれたり、夫婦の仲がもっと良くなるように取り持つ子だったり。そういう力のある子は、人間に大きな勇気を与えることだって出来るんだよ」
「すごいねー、わんこって。一緒に生活しているとなんか違うと思ってたけど、尊敬しちゃうなぁー」
「尊敬なんてちょっと照れちゃうけど、例えばお客様の中で、この子は他のわんこが苦手なのって言われる子がいるでしょ、そういう子は、じつはわんこ同士でのお話が出来ない子なの。でもその代わり、人間のご主人様に与える力は、すごい物を持っているんだから。仕事運も金運も家庭運もみんな良くしちゃう。いいよね、そういう力を持ってるわんこって。うらやましいなぁー」
「うらやましいなぁーって、ポーちゃんもそういう力を持ってんでしょ?」
「ううん、持ってない」
 あっけらかんと言う私。
「ゲェッ……」
 少しがっかりした、お母ちゃんであった。
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サンロードポチ母

Author:サンロードポチ母
伊豆高原、大室山の近くプチホテルサンロードは、1100坪の敷地を全て愛犬のために開放したペット同伴のリゾートホテルです。
サンロードポチ母のわんこ愛情物語です。

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