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迷子の小次郎

「でも、ポーちゃんと私たちはペットショップでの出逢いだったけど、他の人たちもいろんな出逢いと想い出があるんだろうね」
「そうだね、そしてその出逢いが、わんこも人間も幸せへと導いていくんだと思う」
「ポーちゃんとの出逢いは、お父ちゃんもお母ちゃんも、おばあちゃんまでも変えてしまったからね。だって、ポーちゃんが私たちの所に来てくれたから、このホテルをオープン出来たんだもの。前の仕事の時に、ポーちゃんと一緒に旅行に行ってなければ、ペット連れ専用ホテルをやろうなんて考えなかったかもしれない。あの時、ペンションの埃だらけのお部屋で嫌な応対をされて、ホントお父ちゃんとお母ちゃんは落ち込んでしまったんだから」
「そうだね、あの時お母ちゃんは全然ご飯食べないで、ワインをいっぱい飲んでたもん。よほど気分悪かったんだね」
「そりゃーそうよ、廊下は歩かせるな! ワンワン吠えさせるな! レストランには連れて行くな! でしょ!! レストランだけは、ポーちゃん独りでお部屋に置いて行けないからって、頭を下げて頼み込んだけど……。予約の電話では、すごーく優しく『いいですよ』って言ってたんだから。それが当日になって、わんこ連れでないお客様がいらっしゃるのでなんて言われても、困っちゃうよまったく!!」
 その日を思い出して、また怒っているお母ちゃん。
「でも、そのことがあったから、お父ちゃんと相談してこのホテルをオープンしたんでしょ? じゃーそのペンションさんに、感謝すべきじゃないの?」
「それもそうだね! 私たちと同じような人が大勢いるって気が付かせてくれたのは、あのペンションさんだものね。ポーちゃんの言うとおり、感謝しなくちゃ。おかげで今は、いつの間にか増えてしまった子供たちに囲まれ、わんこ好きのお客様ともお友達になれたし、お父ちゃんもお母ちゃんもおばあちゃんもみんな幸せだから、ポーちゃんにあらためてお礼言わなきゃね。ポーちゃんうちの子になってくれて、本当にありがとう」

「やだーお母ちゃん、今さらそんなこと言って、恥ずかしいよ。私あの時、ペットショップでお母ちゃんに、お願いだから私を連れてって!! って一生懸命テレパシーを送り続けていたの」
「へえー、そうだったんだ。だからお母ちゃんポーちゃんと目が合って、あの場所から離れられなくなっちゃったんだね」
「あの時、私の隣のケージにいたヨーキーちゃんは、お母ちゃんと、他に三人の飼い主候補者がいたんだよ」
「あー、私が最初に飼う予定だった子ね」
「うん。お母ちゃんはテレパシーの力で私を選んでくれたけど、あの子もすぐ別の候補者の人が連れて行ったんだ。素敵なご夫婦でとっても優しそうだったよ。風の便りで聞いたけど、今も幸せに暮らしてるって」
「あー良かった。お母ちゃんあの子のこと、すごく気にしてたんだ。ポーちゃんと出逢う前は、そのヨーキーちゃんを家族にしようと思っていたからね。でも良かった、幸せそうで。ところでポーちゃん、お母ちゃん前から気になっていたんだけど、人間とかわんことかに、神様って本当にいるのかな?」
「神様はたくさんいるよ。人間のための神様、木とか水とか山の神様、そして、私たちわんこにとって大切な動物の神様。その他にもいっぱいいるけどね。人間の神様は、人間の心と心が集まって作られたもの。動物の神様は、動物の心と心が集まって作られたものなんだよ。時々この神様が全員集まって会議をしているらしいんだけど、内容はよくわからない」

「ポーちゃんは、その神様たちに会ったことはあるの?」
「うん、あるよ。いつも神様は心の目で見ていてくれて、何かあった時に頑張れって力づけてくれるの。私が前の飼い主さんからペットショップに返されてお母ちゃんに逢うまでの独りぽっちだった時、傍でずーっと慰めてくれていたの。今でも私の所に遊びに来てくれるけど、見えないのはお母ちゃんが気が付いていないだけなんだ」
「お母ちゃんには姿が見えないのかぁー、残念だなぁー。ポーちゃん、今度神様に会ったら、『いつもお世話になっています』って伝えてね」
「うん、わかった。今は人間の神様も動物の神様も忙しいから、いつ来てくれるかわからないけど、伝えておくね」
「ありがとう。でもね、お母ちゃんいつも思うんだけど、この世に神様がいるんだったら、捨てネコや捨てイヌをしないように人間にアドバイス出来ないのかなぁー。神様なら出来るような気がするんだけど」
「それは、動物の神様も人間の神様に抗議しているらしいんだけど、動物と違って人間は、神様の言うことをなかなか聞いてくれないから、大変みたいよ」
「人間も自分のことばかり大切にしないで、他の生き物に愛情を注いだり、木も風もみんな一緒に生きていることに気が付けば、もっと幸せになれるのにね」
「お母ちゃん、よく、動物が好きな人に悪い人はいないって言うでしょ、あれは本当のことなのよ。そばにわんこやにゃんこがいると、神様たちからいろんなアドバイスが受けられて、知らないうちに幸せになっちゃうんだよ」
「すごいねー。そういえば、ポーちゃんやチコちゃんが私たちの家族になるたびに、幸せ度が増している気がする。この子たちのために仕事もガンバロウ! って力も湧いてくるし、人間関係も良い人たちばかりに恵まれて、みぃ~んなポーちゃんたちのおかげだね」
「私たちだって、お父ちゃん、お母ちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らせて、すごく幸せなんだから。みぁ~くんだって10歳過ぎて東京から来たけれど、おばあちゃんと同じお部屋で過ごしてお庭で一緒に散歩して、とても幸せって言ってたよ。遊び盛りの妹たちと何も出来ない私だけど、これからもよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
 お母ちゃんと初めてこんなお話をしたけれど、他のお友達も親子でこんな会話をしているのでしょうか?

 お部屋に戻ると、妹のコロちゃんやロクちゃんたちが背中の毛を立てながら、「クンクン、クンクン(なんだか変だ! 怪しい匂いがする!)」と、お母ちゃんと私の身体に鼻をピクピクしてくる。
 怖がりのクロちゃんは、ブルブル震えながら、「ウゥ~ウゥ~、ワン(あまり近づくな!!)」と唸っている。
 私が、「コラッ!」と怒ると、すごすごとベッドの下に潜り込み、目だけで私とお母ちゃんの姿を追う。仕方ないな、誰だってゆうれい犬さんの匂いは嗅いだことないと思うから。
 それにしても、ゆうれい犬さんが言っていた、さくらの里のお屋敷のおばあちゃんに、見知らぬわんこを逢わせて飼い主さんになってもらう計画なんて、上手くいくのだろうか?

 次の日の朝。ラウンジで朝食後のコーヒーを飲みながら、何組かのお客様がお喋りをしていた。
「すみません、うちの子、夜中にワンワン吠えてうるさかったでしょう」
「楽しかったですネー、またご一緒に遊んでくださいますか?」
 などと、すっかりお客様同士で仲良しさんになったようだ。
 フロントでは、係の利光兄ちゃんと鈴木先生(元幼稚園の先生なので、お母ちゃんは先生、先生って言うんです)が、
「ありがとうございました、ミルクちゃんまたねー。ラブちゃんバイバイ、おばちゃんのこと忘れないでねー」
 と、お見送りをしている。
 お客様の記念写真を撮っていた、一番若手(17歳です)の剛兄ちゃんが、
「チェックアウトはあとひと組ですね」
 と時間を見ている。時計の針は、もうすぐ11時になろうとしている。
 お掃除部隊の隊長ツッチーも、
「まだお部屋に入っちゃダメですか?」
 と確認に来ていた。

「お部屋に電話してみましょうか?」
 と、利光兄ちゃんが受話器を持った時、
「すみませぇーん、うちの小次郎こちらに来ませんでしょうか? 食事のあとお部屋にいたはずなのですが、いつの間にか姿が見えなくなっちゃったんです」
 と、チェックアウトが遅れていたお客様で、パグの小次郎ちゃんのママが、青い顔で飛んで来た。
「小次郎くんが? 行方不明になっちゃったんですか? それはご心配ですね、みんなで探しますよ。お母さん大丈夫です、敷地内はすべてフェンスで囲ってありますので、外には行けません。すぐ見つかりますので安心してください」
 と、支配人のナガシャワシャン(長澤さん)は、剛兄ちゃんと利光兄ちゃん、そして他のスタッフにも声をかけて、小次郎ちゃんを探し始めた。

 お母ちゃんは、剛兄ちゃんからの報せを聞いて、飲みかけのコーヒーをガブガブガブと飲み干すと、
「ポーちゃん、子供たちみんなで手分けして捜して」
 と言いながら、客室の方へと向かって行った。私は小次郎ちゃんの特徴を妹たちに話し、
「ねっ、わかった、相手は小さい子だから脅しちゃダメだよ。見つけたら『ワン、ワン』と2回鳴いて、みんなに報せるのよ!!」
 と指示をして、お母ちゃんのあとを追いかけて行った。

 しばらくして、「ギャン、ギャン、ギャン、ギャン」と、妹たちのけたたましい鳴き声が、館内に響いた。
「まったく、あれほど説明したのにわかんないんだから、2回吠えればいいっつてんのに!!」
 そうブツブツブツ言いながら鳴き声の方へ走って行くと……、あの、ゆうれい犬さんの気配がしてきた。
「まさかっ? 妹たちは小次郎ちゃんじゃなくて、ゆうれい犬さんを見つけたの……?」

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サンロードポチ母

Author:サンロードポチ母
伊豆高原、大室山の近くプチホテルサンロードは、1100坪の敷地を全て愛犬のために開放したペット同伴のリゾートホテルです。
サンロードポチ母のわんこ愛情物語です。

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