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どろぼう犬さんがやってきた

朝5時30分という、早すぎる時刻……。この時間はお母ちゃんも私たちも、もちろん夢の中。私たち家族(お父ちゃんとおばあちゃんは別にして)はお寝坊さんだから、火事になっても地震がきても、絶対に起きない時間なのです。
 ところが、この日のお母ちゃんは飛び起きました。早起きのおばあちゃんが、
「駐車場にちっちゃなわんちゃんがいて、車に轢かれそうだよ」
 と駆け込んで来たからです。うちの駐車場はバス道路に面していて、とても危険なのです。

 おばあちゃんの話では、ゴールデンちゃんとお散歩をしていた近所のお姉さんが、うちの駐車場にわんちゃんの姿を見つけて、「ここのお客様のわんちゃんでは?」と報せてくれたそうです。
「とりあえず、見に行こう」
 お母ちゃんは私を抱っこして駐車場へ急ぎながら、
「迷い犬かなぁー、捨てられたのかなぁー。宗男くんみたく凶暴じゃなければいいけどねー」
 と心配している。
 宗男くんを保護した時、ホテルのスタッフは何回も噛みつかれたし、ここに来て1年以上たつのにまだ、機嫌が悪いと前触れもなくガブッてくるんです。

 駐車場に着き、ひと回りぐるぅーっと見渡したが、わんこの姿は見えない。
「太郎ちゃーん、チビちゃーん、ラッキーちゃーん、ハッピーちゃーん」
 いろんな名前で呼んでみても、姿を現さない。
 しばらくしてお母ちゃんが膝をついて、停めてある車の下を覗くと、いきなり、
「ゲェッ」
 と妙な声を出した。なんと、目の前にいきなりわんこの顔……それが、しかも……。
 ギョロりとした大きすぎる目、下あごが出てて、口の周りには黒い輪模様がぐるり……いわゆる、どろぼうさん顔なのです。お世辞でも「かわい~い」とは言えないシーズー犬。しかも、シーズー犬にしてはかなりでかい!! 男の子のようだ。

「まさか? これが例の!!」
 お母ちゃんと私は、顔を見合わせた。
「この子が、ゆうれい犬さんが話していた子? 今日がちょうど1週間後だけど……」
「そうみたいだね、お母ちゃん。でも、ゆうれい犬さんは、大人しくて可愛い子って言ってなかったっけ?」
「うん、まあ、確かに大人しいかもしれないけど……。この子が、おばあちゃんを幸せにしてくれる子なのかしら?」
「もしそうだとしたら、どうするぅー? どうやっておばあちゃんに逢わせようか? この子で大丈夫なのかなぁー」
 なんで二人で悩んでいるか、皆様もおわかりだと思いますが、正直なところ、こんなにも毛模様が汚いわんこは、とても珍しいと思います。

「とにかくポーちゃん、ここで考えていたってしようがないから、お部屋に戻ろう。わんこもついておいで」
 とお母ちゃんが言うと、シーズー犬ちゃんは、シッポを振りながら嬉しそうについてくる。
 途中でピタッと止まるので、お母ちゃんが、
「どうしたの?」
 と聞くと、ずーずーしくも「ダッコ、ダッコ」のポーズ。
「ウー、ワンワンワンワン(こらぁー、私のお母ちゃんに甘えるなぁー)」
 と威嚇しても、平気な顔でダッコを要求してくる。私の威嚇に動じないなんて、この子、意外と大物かも? 連れて行ったら、妹たちはどんな顔をするだろう。きっと驚くだろうなぁー。

 ところが、ホテルの中までツカ、ツカ、ツカとずうずうしく入って来たこのシーズー犬ちゃんに、妹たちはワンもなければキャンもない。少しだけクンクンしたが、興味がないのかしらんぷりしている。
 シーズー犬ちゃんも、妹たち用のご飯を食べ、お水を飲んでオシッコシートの上にお宝(ウンチのことです)をして、お部屋の一等席にゴロンと横になったと思えば、すぐにイビキをかいて寝てしまった。
「やっ、やっぱり大物だ!!」

 さて、私たち二人は、このわんこについてミーティングを始めた。
「それにしても、あのゆうれい犬さんは無責任だよ。おばあちゃんに逢わせるったって、いきなり連れて行ってどうぞとはいかないし」
「もうチョット可愛ければねー」
「そうだ! おばあちゃんの家に、黙って置いてきちゃおうか」
「お母ちゃん、それはまずいと思うよ」
「そうだねぇ」
「こんなのはどうかな? おめでとうございます、このわんこは貴方が当選しましたって、リボンでも着けて連れて行く」
「う~ん、それも成功しそうもないね」
「じゃあ、どうすんの」
「どうしようか」

 ペチャクチャ、ペチャクチャ、ペチャ……。
(よる――)
 コケコッコォー。
(あさ――)

 いいアイデアも浮かばないまま、結局、ゆうれい犬さんとの約束の日にはこれ以上何も起こらず、あっという間に翌日になってしまいました。
 お客様の朝食が済み、コーヒータイム、お見送り、妹たちのお庭へGO、お昼ご飯そしてねぶた祭りと、毎度のワンパターンを過ごしているうちにもう夕方。
「ワンワンワンワン、ワンワン、ワンワン」
 シーズー犬ちゃんがリードを咥えて、散歩に連れて行けと、お母ちゃんに怒っている。
「貴方は夕方になると、お散歩に行く癖が付いているのね。仕方ない、ポーちゃん一緒に行こうか。チコちゃんはあとでね、お母ちゃん、みんないっぺんには連れて行けないから」
 と言って、シーズー犬ちゃんに、ミックスのコロちゃん用の首輪とリードを着けた。妹のシーズー犬、ロンちゃんの首輪では、首に半分も回らないのだ。

 外に出ると、シーズー犬ちゃんは表情はどろぼう顔のまま、楽しそうにあっちクンクン、こっちクンクンしながら歩いていく。
 途中で、男前のゴールデン茶々丸くんや、ちっちゃくて可愛いマルチーズのチーズちゃん、そして毛の長~い美人シーズーのクッキーちゃんと逢い挨拶をしたが、誰もどろぼう顔のシーズー犬ちゃんには興味を示してくれなかった。 ツンケンされるのには慣れているのか、どろぼう顔のシーズー犬ちゃんも、自分から特に仲良しさんになろうともしないで、草の葉相手に独り遊びをしていた。
 とその時。

「キャー、助けてぇー」
 近くのお屋敷から、すさまじい叫び声が聞こえた。
 駆けつけるとお屋敷の庭では、なんと今回の作戦の標的(?)のおばあちゃんが、腰を抜かしてブルブル震えていた。
「どうしたんですか?」
 とお母ちゃんが聞くと、
「あ、あ、あそこ、岩の所、あそこに」
 と指をさす。
 そこにはなんと、5メートルはありそうなびっくりするほど大きなヘビと、それより少し小さなヘビが2匹、岩の上で頭をもたげながら、こちらを睨んでいた。
「こ、こ、怖い!!」
 一緒に駆け付けたゴールデンの茶々丸くんも、マルチーズのチーズちゃんも、シーズーのクッキーちゃんも、それぞれのお母ちゃんもそして私たちも、身体が固まって動くことが出来ない。
 ヘビさんたちは、少しずつこちらに移動してくる。
「お願いだから、こっちに来ないで!」
 人間の額からは冷や汗が、わんこの口からは冷やよだれが……。

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Author:サンロードポチ母
伊豆高原、大室山の近くプチホテルサンロードは、1100坪の敷地を全て愛犬のために開放したペット同伴のリゾートホテルです。
サンロードポチ母のわんこ愛情物語です。

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